低温時におけるシリーズレギュレータ回路の発振

測定対象と背景

測定対象はアナログ回路用の電源回路(ドロッパ式定電圧電源)です。
室温では正常に動作していたが、周囲温度が低温(-10℃付近)になると発振していることが判明しました。

下記は電源出力をオシロスコープで観測したノイズ波形です。

周囲温度 23℃
横軸:400ns/div. 縦軸:50mV/div.
周囲温度 -10℃
横軸:400ns/div. 縦軸:200mV/div.

周波数特性分析器(FRA)による評価

シリーズレギュレータ回路の位相余裕が低下していることを疑い、FRAでループ・ゲイン特性を測定しました。

測定方法

  • 電源回路に対して、下記の水色のエリアのようにFRAを結線します。
  • 注入抵抗は,注入部分の回路インピーダンス(上図ではRa)と比べて十分に小さいこと。一般的には数10Ω程度です。

測定結果

位相余裕を測定したところ、低温(-10℃)ではほぼ失われていおり、定格の温度範囲である+40℃の場合では位相余裕は確保されていることがわかりました。

周囲温度 -10℃

位相余裕:なし

位相余裕はほぼ失われている、異常発振などの不安定な状態


周囲温度 +40℃

位相余裕:118°

原因について

様々な検証により、上記電源回路図の出力コンデンサCのESRが低温で増大していることが発振の原因と判明しました。コンデンサCを異なる特性の製品に交換しました。

対策後の評価

以下は対策を実施した後に、位相余裕を測定した結果です。あわせて高温(+40℃)においても測定しています。

周囲温度 -10℃

位相余裕:90°

位相余裕は適切な値を確保


周囲温度 +40℃

位相余裕:111°

ポイント

低温においてもESR増大が少ないコンデンサに置き換えることにより発振しなくなり、位相余裕も十分確保できるようになりました。
周波数特性分析器を用いて位相余裕を測定することで、周囲温度の変化に伴う電源回路の不具合とその対策を評価することができました。

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