電圧アンプ(電圧/電圧増幅器)

エヌエフの電圧アンプ

エヌエフの電圧アンプ

当社ではパワーアンプHSAシリーズBPシリーズなども扱っていますが、ここでは微小電圧信号の増幅に用いるプリアンプ SAシリーズ について紹介します。

1. 圧倒的な低雑音特性

プリアンプに要求される性能の一つに、低雑音(ローノイズ)があります。アンプに入力された信号をそのまま増幅することが理想ですが、現実のアンプでは雑音が必ず重畳します。したがって、アンプ自身が発する雑音は小さいほうが好ましいと言えます。
そのようなプリアンプの性能指標の一つに、入力換算雑音があります。この値が小さいほど、雑音重畳の少ない信号増幅が期待できます。
当社では複数のプリアンプを提供していますが、それらの中でローノイズに特化したシリーズがSAシリーズです。そして、SAシリーズの中で最も入力換算雑音電圧密度の小さいプリアンプがSA-250F6です。(図1)

図1

SA-250F6は入力インピーダンスが50 Ωでありながら、常温での50 Ω抵抗の熱雑音(0.91 nV/√Hz)よりも小さな入力換算雑音電圧密度0.25 nV/√Hz(typ.)を、独自の回路技術により達成しています。
ちなみに、50 Ω抵抗の熱雑音は温度を下げれば小さくできますが、SA-250F6と同じまで小さくするには22.5 K(約−251 ℃)まで冷却が必要です。これは、液体水素の温度(約21 K)よりわずかに高い、極低温の世界です。(図2)
このことからも、普通に設計したアンプではまず達成できない低雑音水準であることが分かります。

50Ω抵抗の熱雑音

2. 負帰還技術を応用した特長ある回路設計

SAシリーズは機種毎に様々な技術を集結して作られています。
例えばSA-250F6は入力インピーダンスが50 Ωでありながら、その入力換算雑音電圧密度は50 Ωの熱雑音よりも小さいという、一見すると物理現象を否定するような特長を有しています。しかし、SA-250F6は物理現象を超越した何かではなく、既存の物理(電気電子工学の)理論にしたがって設計されたものです。この低雑音を支えるための一角を担ったのが、アクティブ入力インピーダンスという設計技術です。(図3)

アクティブ入力インピーダンス
図3

図3(a)は、一般的な入力インピーダンス50 Ωのアンプを単純化したものです。この方法だと、入力に接続した50 Ωの熱雑音が信号に混入して増幅されて出力されます。このため、雑音が存在しない理想アンプを使用しても50 Ω抵抗の熱雑音を下回ることは不可能です。
この50 Ωの壁を打ち破る技術が、図1(b)のアクティブ入力インピーダンス方式です。終端抵抗を取り払う代わりに負帰還抵抗で入力インピーダンスを作っています。
SA-250F6は利得100倍(40 dB)のアンプです。アクティブ入力インピーダンス方式により、50 Ω抵抗をそのまま使用した(a)と比べて熱雑音の影響を1/10以下まで圧縮しています。
入力インピーダンス50 Ωを保ちつつ、50 Ωの熱雑音より小さな入力換算雑音電圧密度を達成するには、このアクティブ入力インピーダンスの技術は必要不可欠です。

3. SAシリーズを使用する際のポイント

低雑音電源との組み合わせ

低雑音での測定環境を構築する際に、最後まで頭を悩ませるのが電源環境です。測定したい周波数帯が、商用電源とその高調波に被さる50 Hz~数 kHz帯の場合はフィルタで除去することも困難であり、あの手この手で対策を繰り返すことが多いです。
従来、そういった用途での最終手段は電池駆動でした。しかし、どんなに大容量の電池を持ってきても、いずれは交換や充電が必要です。電池から供給される電圧は使用中に少しずつ低下します。温度が変わると電圧変動も発生します。長期動作という観点からは安定性に欠ける手段と言えます。このため電池駆動による低雑音化は、あくまで短時間動作における解決策でしかありません。     
当社ではこういった電源問題を解決するため、低雑音アプリケーションに特化した低雑音電源をご用意しております。

型名 品名  
LP5392 低雑音直流電源 SAシリーズ駆動用にお奨め。
LP5394 駆動電源以外にも、基準バイアス源など0 Vから±15 Vまでのアプリケーションに。

ちなみに、どのくらい低雑音なのかというと、 “超低雑音アンプで増幅しないと雑音測定ができない“ほどです。
オシロスコープでそのまま雑音波形の観察を試みても、いわゆるリプル電圧は全く現れません。これほどの低雑音であるため、差動増幅回路の片入力(基準電圧源)やセンサの基準バイアス源などに直接活用することも可能です。

SAシリーズの出力終端について

SAシリーズのうち、入力が交流結合になっているシリーズ(SA-220F5やSA-420F5など)は、出力を50 Ω終端した時に利得46 dB(200倍)となるように設計されています。
また、利得以外の性能に関しても、50 Ω終端した時で規定しています。
入力が交流結合になっているSAシリーズの出力をオシロスコープなどの機器に接続される際は、必ず入力インピーダンスを50 Ωに設定してください。
50 Ωに設定ができない機器の場合は、市販の50 Ωターミネータを使用してください。1 MΩなどのハイインピーダンス入力の機器をそのまま繋いでしまうと、規定の性能(例えば周波数特性)が得られません。

電圧アンプ(電圧/電圧増幅器)とは

電圧アンプ(電圧/電圧増幅器)とは

一般的な電圧アンプ(電圧/電圧増幅器)ついて解説しています。

1. 片線接地(Single-Ended)と差動(Differential)

プリアンプには、信号入力端子が1個の物と、正負1個ずつで計2個の物があります。
入力端子が1個の物は、接地電位(グラウンド、GND)との電位差を増幅するもので、 片線接地(シングルエンド、Single-Ended)方式と言います(図中 a)。 同軸端子(BNCコネクタ、SMAコネクタなど)の場合は、芯線側が信号線で、外皮側が接地電位です。
一方で、正負入力を持つものを差動(Differential)方式と言います。 これは正入力(+)と負入力(−)との差分を増幅するものです(図中 b)。 なお、差動入力の片方を接地電位に接続すると、片線接地と同じ方式になります(図中 c)。

片線接地、差動、差動で片線接地の違い

片線接地と差動、差動で片線接地の3通りについて一般的な違いを表1に纏めました。

表1

方式 片線接地 差動 差動で片線接地
入力配線 信号線が1本で済む 信号線が2本必要 信号線が1本で済む
信号線の距離 短距離に限る 長距離にも対応 短距離に限る
コモンモードノイズ 影響を受ける 軽減が可能 影響を受ける
増幅極性の反転 不可能 可能 可能

2. コモンモードノイズの影響

ここでは、二本の伝送線に等しく表れるノイズをコモンモードノイズと呼びます。ノイズの原因は、商用電源に由来するハムノイズであったり、電磁波であったり様々です。(図1)
片線接地の場合、元の信号と、外来ノイズを切り分けることができません。このため、信号線を短くする、シールド線を使用する、ノイズ源から遠ざけるなどの 外来ノイズを小さくするための努力が必要不可欠です。

コモンモードノイズ
図1

一方で、差動の場合は差動利得と同相利得の効果により、同相信号を除去することができます。 同相信号である外来ノイズは、同相利得が低い(同相除去率が高い)ほど除去されることが分かります。(図2)

差動回路がコモンモードノイズを除去する仕組みのことを CMR(Common Mode Rejection:同相除去)といいます。また、CMRにより除去される大きさは符号を逆にした同相利得と同じですので、同相利得の意味で使用する場合もあります。例えばCMRが40 dBのプリアンプ入力に、同相信号として1 Vp-pを入力します。この時の出力は、−40 dB(1/100倍)された10 mVp-pです。
そして、差動信号と同相信号の出力比を CMRR (Common-Mode Rejection Ratio:同相信号除去比)と言います。

差動方式を効果的に使用するためには、外来ノイズが差動信号の両方に、等しく重畳するよう配線に気を付ける必要があります。差動信号の片方だけに重畳したノイズは、片線接地と同様に除去することができません。

CMRR値によってノイズ除去率が変わる
図2

3. 信号源とプリアンプを繋ぐ線材

信号源とプリアンプとの間の接続は、短いほど好ましいです。理想は、プリアンプの入力端が信号源に直結することです。
しかし現実には、信号源とプリアンプは離れている場合が多く、その間は電線で接続します。電線はアンテナとして機能するため、ノイズを拾いやすくなります。このため、使用する配線が重要になります。

図3(a)は、単純に二本の電線をただ引き回して接続する場合です。 最も簡単ですが、耐ノイズ性能は皆無です。微小信号を伝送するには適しません。
この接続を発展させたのが図3(b)のツイストペアです。「行き」と「帰り」の信号が結合し、外からのノイズを受けにくくなります。なお、二本をツイストせずに密着しただけの平行線もありますがノイズ耐性はツイストペアの方が優秀です。

図3(c)は、信号の「行き」を「帰り」で覆うシールド線です。外周を全て覆うことで、外からのノイズをさらに受けにくくなります。 ただし、外周と芯線の間は何もないため、ケーブル同士の容量が不定になるという欠点があります。このため、直流や低周波の信号には適しますが、高周波特性は良くありません。

図3(b)と図3(c)の合わせ技が図3(d)です。外部からのノイズは外周のシールド線が吸収し、内部はツイストペアで良好な伝送特性を得ます。おおよそ10kHz程度までの信号であれば、この線材は優秀な特性を示します。

図3(e)は、図3(c)の中空部分を誘電体(絶縁体)で充填したもので、同軸(Coaxial)と呼びます。単位長あたりの容量と、特性インピーダンスが規格で決まっているため 良好な伝送特性を得やすいという特徴があります。

一般に、計測用途の信号線は図3(e)同軸を使用することが多いです。ケーブルの特性が規格化されていること、同軸コネクタであるBNCやSMAが普及していること、高周波までの伝送特性が優秀であること、などが理由です。

同軸について(図解)
図3

また、複数の信号線を束ねたり、近接して配線することは良くあります。この時に問題になるのが、クロストークと呼ばれる近接信号線からの信号飛込み(漏れ)です。(図4)
クロストークへの耐性が高いのは、信号線の外側をシールドで覆った線材です。シールドが外来ノイズを吸収する効果もあるため、微小信号の伝送ではシールドは必須とも言えます。

クロストークについて(図解)
図4

4. プリアンプの入力インピーダンス

SA-250F6は当社でラインナップしているプリアンプの中で最も低い入力換算雑音電圧密度(0.25 nV/√Hz typ.)を有しています。
では、どんな用途でもSA-250F6を使用すれば最高の性能が得られるのでしょうか?答えは「いいえ」です。SA-250F6が適するのは、特定の用途に限られています。このため、用途に合わせたプリアンプを選定できるよう、当社でも種類を増やして提供しております。

信号源(センサ)には、必ず出力インピーダンスがあります。一般には、プリアンプの入力インピーダンスは高いことが、信号源の出力インピーダンスは低いことが望まれますが、現実にはいずれも有限の値であり、無限大やゼロにはなりません。

SA-250F6は、入力インピーダンスが50 Ωしかありません。これは50 Ω系システムに最適化して設計されているためです。
このため、高い出力インピーダンスの信号源、 例えば圧電素子から出てくる信号の増幅は苦手です。 出力インピーダンスが1 kΩもあると、SA-250F6の入力端では約1/20に信号は減衰してしまいます。(図5)
こういった高い出力インピーダンスの場合には、アンプの入力インピーダンスも高い機種を選定します。

例えばSA-220F5は入力インピーダンス1 MΩのプリアンプです。出力インピーダンス1 kΩのセンサでも減衰を気にせずに使用できます。

図5

5. 信号源インピーダンスに応じたプリアンプの選定

では、どうやってプリアンプを選定すればよいのでしょうか?
一つの指標として、プリアンプの性能を使用して下記の計算式で求めたインピーダンス値(ZOPTIMUM)があります。

ZOPTIMUM [Ω] = (入力換算雑音電圧密度 [V/√Hz])÷(入力換算雑音電流密度 [A/√Hz])

このZOPTIMUMは、プリアンプが低雑音を発揮できる 信号源インピーダンスの目安です。 ZOPTIMUM以下の信号源インピーダンスが、 プリアンプにとって望ましい信号源です。
では、ZOPTIMUMを計算してみます。 SA-250F6で0.25 nV/√Hz ÷ 5.0 pA/√Hz = 50 Ωです。 SA-220F5では0.5 nV/√Hz ÷ 200 fA/√Hz = 2.5 kΩです。
この値を元に、どのセンサにどのプリアンプが適しているか判定します。 プリアンプの、信号源インピーダンスまで含めた入力換算雑音電圧密度は 以下のような計算式で求めます。

入力換算雑音電圧密度数式

式中の記号は、Vnはアンプ自身の入力換算雑音電圧密度 [V/√Hz]、Inはアンプ自身の入力換算雑音電流密度[A/ √Hz]、Rは信号源インピーダンス(センサなどの出力インピーダンス)[Ω]、KBはボルツマン定数[J/K]、 Tは絶対温度[K]です。
この式を使って、センサの出力インピーダンスを模擬するために0 Ω、50 Ω、1 kΩの三種類の抵抗を入力に繋いだときに、SA-250F6とSA-220F5のどちらが低雑音なのかを検証します。

ZOPTIMUMの値と、抵抗を繋いだ時の入力換算雑音電圧密度を表1にまとめました。また、接続した抵抗の常温での熱雑音も載せました。
0 Ωの抵抗を接続、つまり入力を短絡した状態では、SA-250F6が良好な低雑音性能を発揮します。
しかし50 Ω抵抗を繋ぐと、SA-250F6とSA-220F5の雑音の差は非常に小さくなります。そして、1 kΩ抵抗では、SA-220F5のほうが低雑音という結果になりました。

SA-250F6は、入力部のデバイスにバイポーラトランジスタ(bipolar transistor)を使用しています。バイポーラトランジスタは、動作するためにベース電流が流れています。 ベース電流の影響で、入力換算電流雑音密度も大きくなってしまいます。電流は抵抗に流れると電圧に変換されるので、抵抗値が大きいほど入力換算電流雑音密度の影響も大きくなります。
一方で、SA-2205Fの入力部は接合型電界効果トランジスタ(junction FET,JFET)です。FETのゲートには極めて微量の電流しか流れません。このため、入力換算電流密度は小さな値に留まります。
結果として、実際にセンサを繋いで動かすことを考えると、FET入力のほうがバイポーラトランジスタ入力より良好な雑音特性を示す場合が多いです。

表2

  ZOPTIMUM 0 Ω 50 Ω 1 kΩ
SA-250F6 50 Ω 0.25 nV/√Hz 0.98 nV/√Hz 6.45 nV/√Hz
SA-220F5 2.5 kΩ 0.50 nV/√Hz 1.04 nV/√Hz 4.11 nV/√Hz
参考:信号源の熱雑音 N/A 0 nV/√Hz 0.91 nV/√Hz 4.07 nV/√Hz

SAシリーズのZOPTIMUMを図6に示します。

なお、ZOPTIMUMを アンプのデータシートから読み取れない場合もあります。
このような場合には一つの目安として、信号源インピーダンスの10倍以上の入力インピーダンスを持つプリアンプを 選定する事をお奨めします。例えば信号源インピーダンスが100 Ωなら1 kΩ以上です。
信号源インピーダンスがよく分からないセンサに使いたい、用途を限定せず汎用的に使えるプリアンプが欲しい、という場合には、まずはFET入力を採用したプリアンプをお奨めします。

図6

6. 温度ドリフト(温度安定度)

部品や回路の安定度を示す指標の一つに、温度安定度があります。これは文字通り、温度が変わった時に出力にどれだけ影響が出るかを示すものです。

プリアンプでは特に、オフセット電圧の温度変動(オフセットドリフト)が重視される場合があります。プリアンプのオフセット電圧が変動する理由としては、入力部に使用しているデバイス(トランジスタ)の特性が大きく関係します。
一般に、バイポーラトランジスタ入力はオフセットドリフトが小さく(約±1 μV/℃以下)、FET入力は逆に大きい(約±5~20 μV/℃)傾向があります。

表3は、弊社でラインナップしている主なプリアンプについてオフセットドリフトを整理したものです。バイポーラ入力の方が一桁以上も良好なオフセットドリフト特性を有しています。
温度が安定した場所でプリアンプを使うことが一番効果的ですが、温度変化の影響を小さくしたい場合にはバイポーラトランジスタ入力のプリアンプが有効です。

表3

型名 オフセットドリフト 入力デバイス
SA-200F3 ±0.2 μV/℃ バイポーラ
SA-410F3 ±0.2 μV/℃ バイポーラ
CA-261F2 ±0.3 μV/℃ バイポーラ
SA-240F5 ±0.5 μV/℃ FET
CA-471F5 ±5 μV/℃ FET
SA-440F5 ±5 μV/℃ FET
5307 ±8 μV/℃ FET
CA-271F5 ±10 μV/℃ FET
CA5360 ±10 μV/℃ FET

7. 入力結合

プリアンプの入力結合には、交流結合(AC Coupling)と直流結合(DC Coupling)があります。(図7)
交流結合は、直流(低周波)成分を除去してからプリアンプに入力する方式です。

入力結合について
図7

1 kHz以下には1/fノイズと呼ばれる半導体が発する低周波雑音があります。 また、50 Hz~3 kHz程度の範囲には、商用電源とその高調波が混入するハム雑音もあります。このため、低雑音化を目的とした交流結合では、主に1 kHz~10 kHz以下の信号成分を除去することが多いです。(図8)
また、入力信号の直流成分を除去できることから、微小信号を高利得で増幅しやすいというメリットも交流結合にはあります。直流を除去しつつ1 mHz程度までの交流結合を実現することもありますが、一般的には10 Hz程度が交流結合の下限値です。
一方の直流結合では、直流(低周波)成分も交流成分も一緒に増幅します。 高利得での増幅は、アンプの出力が出力最大電圧を超えないよう注意が必要です。

では、どちらの結合方式が優秀なのでしょうか。
例えば熱電対で温度を測定するためのプリアンプとその周波数帯域について考えてみます。

熱電対の出力電圧は微小であり、マイクロボルト(μV)以下の検出が要求されることもあります。一般には、直流電圧に限定することで微小な電圧の検出をしていますが、温度変化を検出したい、というアプリケーションは少なくありません。この場合は、プリアンプにもそれなりの帯域(応答速度)が要求されます。

1日を通した室温の変動を記録することを考えてみます。室温の変化は、日照や冷暖房の影響により発生しますので、変化にかかる時間は秒単位から分単位の、ゆっくりとしたものです。
この変化は周波数で表すと1 Hz以下の低周波です。また、室温の場合は温度そのものの検出も求められることが殆どです。したがって、室温検出には直流結合のプリアンプが必要です。室温検出に交流結合のプリアンプを持ってきてしまうと、温度変化はほとんど検出できません。
一方で、高速応答が可能な熱流センサや薄膜熱電対を使用して、瞬間的な熱移動を検出する用途があります。高速信号の検出では、交流結合のプリアンプも使用できます。なぜなら、熱平衡状態(熱移動が無い)の出力は直流成分であり、欲しい情報は不平衡になる(熱移動がある)瞬間だけだからです。

もちろん、高速応答(熱移動の検出)をしつつ、直流成分(絶対温度の検出)も必要という場合もあります。この場合は、熱電対と熱流センサを併用したり、低雑音かつ周波数が高域まで伸びているプリアンプを使用する方法があります。
したがって、直流結合と交流結合のどちらが優秀というわけではなく、欲しい信号、検出したい信号の特性を把握したうえで適した方式を選択する必要があります。

それぞれの帯域比較
図8

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