移相器

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  • 이상기

通常、移相器というと通信系の高周波関係が思い浮かぶが、ここでは低周波の移相器に限定する。特定周波数の正弦波から任意の位相差の信号を生成するには、90度移相器が基本となる。
図1はオールパスフィルタといわれるもので、図2に示すように、振幅一定で位相だけが周波数に応じて変化する回路である。
ここで、f=1/(2πRC)、R1 = R2 となる周波数fで位相は90度となる。
0度と90度の信号があれば、0~360度の連続可変移相器を構成することができる。

オールパスフィルタ回路図
図1 オールパスフィルタ
オールパスフィルタの振幅-位相特性
図2 オールパスフィルタの振幅-位相特性

図3は、0度( V1 )と90度( V2 )の信号を1対1で加算すると45度( V1 + V2 )の信号が得られことを示したものである。図1に示すように V1 と V2 間に可変抵抗器を接続すると、V3 に0度から90度の信号が得られる。ただし、振幅は一定ではない。
これをさらに発展させると、0~360度の連続可変移相器となり、ちょっとした工夫で振幅をほぼ一定とすることもできる。
入力周波数が変化すれば、それに応じて図1の時定数RCを変化させなければならない。

45度位相差信号の合成
図3 45度位相差信号の合成

Topics  実際の移相器

遅延線

周波数100MHz以上の領域における移相器は、同軸ケーブル等による遅延線が用いられます(遅延時間を変えれば位相を変えられます。ただし、遅延時間一定だと周波数が変わった場合、位相も変化してしまいます)。位相を連続的に変えるには、遅延時間(電気長)を連続的に変える必要があります。写真1はトロンボーン型の中心導体で可変遅延を実現しています。この遅延器は、遅延時間の可変量約2ns、周波数特性 DC~1GHz以上で、広帯域オシロスコープのチャネル間スキューの調整用に使われていました。
移相器として用いた場合は、500MHzで360度、100MHzで72度の位相を変化させることができます。
可変遅延線を用いた移相器は、本質的に雑音を発生せず、発振器の位相雑音の測定などに用いられます。

可変遅延線
写真1 可変遅延線

電圧制御移相器

ロックインアンプの参照信号等の用途で、入力信号の位相を調整したい場合があります。このような用途に便利なのが当社製 電圧制御移相器CD-951V4。1kHz~2MHzの入力信号に対し、外部直流電圧±5Vで±100°まで位相を変えられます。上記の可変時間型のデバイスと異なり、周波数が変わっても位相は維持されます。

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