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技術情報:計測講座

I/Vアンプ(電流/電圧変換増幅器)

微小な電流信号を測定するために

微小な電流信号を測定するためには、低雑音のI/Vアンプを使用することが重要なのは言うまでもありません。さらに、適切な測定機器の設置や最適な測定条件に設定することが大切です。ここでは、微小な電流信号を測定する際に注意するべき点を紹介します。

 

 

 

 信号増幅後の雑音低減方法

I/Vアンプで増幅した後、雑音を低減する方法は主に下記の2点があります。

 

適切な測定帯域に設定する 

雑音を小さくするためには適切な測定帯域を選択し、不要な周波数帯域の雑音成分を除去することが効果的です。特に、雑音の振幅レベルが同じでも、高い周波数ほどエネルギーが大きいため、不要な高域の雑音成分を除去することが重要です。
図11にI/Vアンプの出力にLPF(1次, fc=1kHz)を追加したときの出力波形を示します。LPFがないときに比べ、LPFを追加すると雑音が低減して出力波形がきれいに表示されています。このように、測定したい信号帯域に対して適切な測定帯域に設定することで、S/N比が向上でき、より微小な電流信号を検出することが可能になります。
なお、実測例としてSA-607F2を使用して1pAp-pのリアルタイム信号の検出に成功しました。測定結果は「信号検出限界への挑戦―pAのリアルタイム信号検出―」を参照してください。

 

図11  : 測定帯域の違いによる出力波形比較


(a) 測定時のブロック図

 

img16

 

 

 

(b) LPFがない場合の出力波形(BW:20kHz)

 

img17

 

   

 

(c) LPFがある場合の出力波形(BW:1kHz)

 

img18

 

 

また、測定したい信号波形に対する測定帯域の設定値の目安を表6に示します。
ただし、表6はあくまで目安であり、お客様の測定内容によって適切な測定帯域は様々です。そのため、弊社は各種フィルタを用意しております。フィルタに関する情報は計測お役立ち情報の「プリアンプとフィルタの使い方」にもございますので、ご参照ください。

 

表6 : 測定したい信号波形に対する測定帯域の設定値の目安(LPFを使用時)

測定信号波形

LPFの遮断周波数

正弦波

信号周波数の3~5倍

方形波

信号周波数の約10倍

三角波

信号周波数の7から10倍

 

表7 : 各種フィルタ製品

種類

概要

製品

周波数可変フィルタリンク

遮断周波数を自由に設定できるフィルタ

・マルチファンクションフィルタ
・デュアルチャネルプログラマブルフィルタ
・高周波連続可変フィルタ

多チャネルアナログ信号前処理システムリンク

フィルタ、差動アンプ、アイソレーションアンプなどを必要チャネル数で構成できる、多チャネルアナログ信号前処理システム

・差動アンプ
・アイソレーションアンプ
・多機能フィルタ
・GPIBユニット

フィルタモジュールリンク

基板実装型のフィルタモジュール

・抵抗同調フィルタ
・電圧同調フィルタ
・プログラマブルフィルタ
・周波数固定フィルタ

モジュール組込フィルタリンク

フィルタモジュールを組み込んだ電源付収納ケース

※各種フィルタモジュールを組み込める収納ケースをご用意しています。

 

 

平均化処理によるS/N比の向上 

適切な測定系や測定条件を整えても、センサからの微小信号が雑音に埋もれて信号検出できない場合があります。このような状態でも、平均化処理によって微小信号を検出できる場合があります。平均化処理によって微小信号を検出できる場合の条件は下記の通りです。

 

a)  雑音成分がランダム雑音である。

b)  検出したい信号が繰り返し波形である。

c)  検出したい信号の同期信号がある。

 

図12に測定系のブロック図と平均化処理有り/無し時のI/Vアンプの出力波形を示しますが、平均化処理によって雑音に埋もれていた微小電流信号を検出できることがわかります。
平均化処理をする際、測定器の適切な測定レンジ設定が重要です。例えば、オシロスコープの平均化機能を使用する場合を考えます。I/Vアンプの出力電圧波形がオシロスコープの測定レンジを超える場合、測定範囲を超えた部分の出力波形はクランプされ、信号成分も含めて除去されるため、正確な信号が検出できなくなります。また、オシロスコープの測定レンジが大きすぎる場合、検出する信号レベルがオシロスコープの測定分解能以下になると、どんなに平均化してランダム雑音成分を除去しても信号は検出できません。従って、平均化処理により改善できるS/N比は測定器のダイナミックレンジによって決まります。

このように、測定したい信号レベルと、信号に重畳している雑音レベルを考慮して、適切な測定器と、測定レンジに設定することが大切です。
なお、実測例としてSA-607F2を使用して10fAp-pの繰り返し信号の検出に成功しました。測定結果は「信号検出限界への挑戦―fAの繰り返し信号検出―」を参照してください。

 

図12  : 平均化処理による出力波形の比較


(a) 測定時のブロック図

 

img19

 

 

 

(b) 平均化処理無し時の出力波形

 

img20

 

   

 

(c) 平均化処理512回した時の出力波形

 

img21

 

 

 

 

 増幅前の雑音低減方法 next

 


 

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