株式会社エヌエフ回路設計ブロック
計測なんでもHOTLINE 0120-545838
Google

回路素子測定器

LCRメータ

ZM2371/ZM2372

測定確度の算出方法

LCRメータにとって重要な性能の1つが「測定確度」です。代表値は仕様書に記載されていますが、実際の確度は測定周波数、信号レベル等、諸条件によって大きく左右されます。
ここでは、測定時の条件から実際の確度を求める方法について解説します。

測定確度表には、基本・比例、比、信号レベル、残留インピーダンス、残留アドミタンス、ケーブル長、DCバイアス、温度依存の各係数表があります。これらの表から値を読み取り、確度を計算します。

 

測定時の条件を用意します。

例:電解コンデンサ測定時の測定条件

(1)

測定速度
(RAP, FAST, MED, SLOW, VSLOから選択)

MED

(2)

測定周波数
(1mHz ~ 100kHz)

120 [Hz]

(3)

測定信号レベル:V
( 信号レベルの設定値、~5Vrms )

1 [V]

(4)

周囲温度:T
( 本器の周囲、0 ~ 40℃ )

25 [℃]

(5)

ケーブル長
( 本器と試料を接続しているケーブルの長さ)

0 [m]

(6)

測定レンジ:Zr
(測定時のレンジ設定値)

10 [Ω]

(7)

DCバイアスの有効/無効

無効

(8)

被測定物の測定値

Cs = 205.41 [uF]
D  = 0.045345

 

この測定値を次式にあてはめ、あらかじめZと θ を求めておきます。

 式

 

※θの計算結果は、位相角測定結果QXと比べて符号が逆になるか、または180°ずれる場合があります。

 

測定パラメタがCs, Dであるので、Zと θ は、
θ = | tan-1 D-90°| = 87.404° 
 Z = | 1 / ( 2 π f Cs sin θ ) | = 6.4634 [Ω]

 

 

 

測定条件と表から各係数を求め、まず、インピーダンス測定値の測定確度を求めます。
この時、先の計算で求めたZを表中のZXとみなします。
(各表は、PDF 測定確度(PDF:81KB)新しいウィンドウで開くに記載しております。)

 

(9)

基本・比例係数表から、基本係数 A比例係数 Bを求めます。
  基本・比例係数表

 

測定レンジ = 10Ω、測定速度 = MED、周波数 120Hz から、
A = 0.17 [ % ] ,B = 0.02 [ % ]

 

 

(10)

比係数表より、比係数 Uを求めます。
 

比係数

 

U = Zr [Ω] / Zx [Ω] = 10 / 6.4634 ≒ 1.547

 

 

(11)

信号レベル係数表より、信号レベル係数 Vを求めます。
 

信号レベル係数表

 

測定信号レベル = 1 [V]、測定レンジ( Zr ) = 10 [Ω]、測定速度 = MED なので、V = 1

 

 

(12)

残留インピーダンス係数表から、残留インピーダンス係数 Kzを求めます。

 

残留インピーダンス係数表

 

ケーブル長係数 KC = 0.001 × 周波数 [kHz] × (ケーブル長 [m] )2

             = 0.001 × 0.12 × 0 = 0  より、
Kz = ( 0.003 + Kc ) / Z [Ω] = ( 0.003 + 0 ) / 6.4634 ≒ 0 [%]

 

 

(13)

残留アドミタンス係数表から、残留アドミタンス係数 KYを求めます。
 

残留アドミタンス係数表

 

KY = Z [Ω] / (3 × 10 8) = 6.4634 / (3 × 10 8) ≒ 0 [%]

 

 

(14)

温度依存係数表から、温度依存係数 KTを求めます。

 

温度依存係数表

 

周囲温度は25 ℃ なので、KT = 1

 

 

(15) DCバイアス係数表から、DCバイアス係数 KBを求めます。
 

DCバイアス係数

 

DCバイアス無効なので、KB = 0

 

 

各係数を代入し、インピーダンスの大きさの測定値ZXの確度± Az [%] を求めます。

 

Az = ( A+B × U+Kz+Ky ) × V × KT+KB × U
   = ( 0.17 + 0.02×1.547 + 0 + 0 ) × 1 ×1 + 0 × 1.547
  ≒ 0.201 [%]

 

Zxの確度は±0.201[%] になります。

 

位相角の測定値θXの確度±Pz [ ° ] を次の式で求めます。

 

Pz = 0.573 × Az = 0.115

 

θXの確度は±0.115[ ° ] になります。


これで、インピーダンスの大きさと、位相角の確度を求められました。

 

 

静電容量と損失係数の確度

容量測定値 ( Cs ) と、損失係数 ( D ) の確度は、Azおよび表1から求めます。

 

|Dx| ≦ 0.1であることから、
Cの測定確度 = ± Az = ± 0.201 [%]
Dの測定確度 = ±( 0.01 × Az ) = ± 0.00201

 

Cの測定確度 は、±0.201 [%]、Dの測定確度 は、±0.00201 になります。

 

 

これら以外のパラメタに対する測定確度の求め方については、表1 パラメタの測定確度 をご覧下さい。
ここで説明した方法と同様に、任意の条件での測定確度を求めることが出来ます。

 

表1 パラメタの測定確度

パラメタ 測定確度
|Y|

±Az [ % ]

Lp, Ls, X

±Az [ % ] ( |Qx| ≧ 10 )、±Az / sinθx [ % ] ( |Qx| <10 )

Cp, Cs, B

±Az [ % ] ( |Dx| ≦ 0.1 )、±Az / sinθx [ % ] ( |Dx| >0.1 )

Rp, Rs, G

±Az [ % ] ( |Qx| ≦ 0.1 )、±Az / cosθx [ % ] ( |Qx| >0.1 )

Rdc

±Az [ % ]

Q

±QX2 × Pe / ( 1 - |Qx| × Pe) ( |Qx| ≧10、|Qx| × Pe ≦0.1 )
ここで 位相角の誤差 Pe = 0.01 Az [ rad ]。
( Q の測定確度は絶対値です。%値ではありません。 )

D

±( 0.01 × Az ) ( |Dx| ≦0.1 )
( D の測定確度は絶対値です。 % 値ではありません。 )

※DX,QX,θXは実際の測定結果を表わす。