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使い方のヒント:オープン補正・ショート補正

オープン補正,ショート補正とは,インピーダンス系の測定の際に、試料との接続により生じる測定系誤差分(残留インピーダンス,残留アドミタンス)を予め測定しておいてZGA本体に記憶させ,インピーダンス測定結果を補正して測定系誤差分の影響を軽減する機能です。

ZGA5920 では、補正パレットで、オープン補正,ショート補正を行います。補正パレットは画面一番下の「補正」ボタンを押すと表示されます。

 


 

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オープン補正、ショート補正のための接続を行い、補正パレットでパラメータ設定を行った後、「実行」ボタンを押すと、ZGA5920 は、補正のためのデータを収集します。

オープン補正は高いインピーダンス(概ね10kΩ以上)の測定に,ショート補正は低いインピーダンス(概ね10Ω以下)の測定に有効です。オープン補正,ショート補正を両方行なっても効果があります。

オープン補正、ショート補正それぞれの手順の詳細は、以下を参照してください。


補正パレット

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オープン補正の手順

1)接続回路条件,測定信号出力条件およびスイープ条件の中の測定周波数範囲,AC振幅,測定点数などを実際の測定に使用する値に設定します。

2)測定端子を開放します(∞Ωの試料を接続している状態にします)。定電流パワーアンプを使用して測定信号出力の信号を増幅しているときは,パワーアンプ出力にブリーダ抵抗を挿入するなどして,過大電圧が発生しないようにご注意ください。また,測定端子間の距離は,試料測定時とほぼ同じ間隔になるようにしてください。端子間の静電容量を試料接続時と同等にするためです。

3)「実行」ボタンを押して補正を開始し、スイープ測定が終了するまで待ちます。 

4)補正を有効にするため,補正パレットの一番上にある「有効」にチェックをいれます。「有効」にチェックを入れないと,測定時に補正データは使用されませんので、ご注意ください。

ショート補正の手順

1)接続回路条件,測定信号出力条件およびスイープ条件の中の測定周波数範囲,AC振幅,測定点数などを実際の測定に使用する値に設定します。

2)測定端子を,金属板など十分インピーダンスの低いものを使用して短絡します(0Ωの試料を接続している状態にします)。パワーアンプを使用して測定信号出力信号を増幅しているときは,測定信号出力レベルを一時的に小さくするなどして,過大電流でシャント抵抗を焼損しないようにご注意ください。

3))「実行」ボタンを押して補正を開始し、スイープ測定が終了するまで待ちます。

4)補正を有効にするため,補正パレットの一番上にある「有効」にチェックをいれます。「有効」にチェックを入れないと,測定時に補正データは使用されませんので、ご注意ください。

注意: 測定端子を短絡あるいは開放すると,接続によっては過大電流や過大電圧が発生して,シャント抵抗焼損等の可能性があります。測定信号出力レベルを一時的に小さくするなど,過大電流(過大電圧)が発生しないようご注意ください。

 

各補正データはレシピに保存することができます。また,補正を有効にして測定を行うと,測定データと共に、ZGA内部に保存されます。測定データを呼び出すと、測定をした時の補正値が設定されますので,同じ補正値を使った測定をすることができます。

電源投入直後,測定接続変更時,精密な測定を要する前には,再度補正測定を行うことをお勧めします。

説明

オープン補正およびショート補正は,下記のモデルとして補正計算を行ないます。 

測定系誤差のモデル

図1 測定系誤差のモデル

試料Zxを開放して測定することにより(オープン補正測定),Zpが得られます。ZsはZpと比べて遥かに小さいので無視できます。

オープン補正測定

図2 オープン補正測定

試料Zxを短絡して測定することにより(ショート補正測定),Zsが得られます。

ショート補正測定

図3 ショート補正測定

オープン補正,ショート補正は各々単独で有効,無効を設定できます。有効・無効の組み合わせにより,下表の補正計算を行ない,試料のインピーダンスZxを求めます。

表4 オープン補正・ショート補正計算式

オープン補正 ショート補正 補正計算式
無効 有効 Zx=Z-Zs
有効 無効 Zx=Zp×Z/(Zp-Z)
有効 有効 Zx=Zp×(Z-Zs)/(Zp-(Z-Zs))

  

下記の変更時は,オープン補正測定,ショート補正測定を再度行ってください。

  • 電源投入時

電源オフにより,オープン補正データおよびショート補正データは消失します。ただし,レシピには補正データを保存しておくことができます。また,測定結果のデータには,測定実施時の補正データが保存されます。

  • 測定接続を変更したとき

残留インピーダンス,残留アドミタンスが変化しています。

  • スイープ範囲(スイープ最小値,最大値)を変更したとき

スイープ範囲が広くなると,補正データが存在しなくなる周波数領域が存在することになるので,補正が行なえません。

スイープ範囲が狭くなると,周波数補間を行なってオープン補正,ショート補正を行ないます。補正は有効ですが,周波数測定ポイントが異なるので,再度の補正測定を推奨します。

  • 測定間隔を変更したとき

掃引のリニア/ログを変更しても,スイープ範囲が変更されていなければ周波数補間により補正を行なうので補正は有効ですが,周波数測定ポイントが異なるので,再度の補正測定を推奨します。

スイープ測定方向(Up,Down)の変更では,補正測定を再度行う必要はありません。

 


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